企業の目標だけを押し付けてはダメ

前回は具体的な目標の重要性を書きました。

これは企業・経営側の視点に立ったものです。

では次に、従業員の視点に立って考えてみましょう。

高校球児が甲子園出場を目標に掲げた場合、甲子園出場が目標達成です。

受験生が東大合格を目標に掲げた場合、東大合格が目標達成です。

 

企業にとっての目標達成って何でしょうか?

経営計画の達成? 業界でのシェア一位? 顧客満足一位?

そうですね。それらも目標達成といえると思います。

 

しかし、企業はゴーイングコンサーン(永続的に企業が継続する・させるという前提で企業活動を行うという意味)を目指すわけで、目標を達成したら終わりではありません。

目標を達成したから企業が解散するわけでもなく、目標達成の事実を喜び、噛みしめながらも明日からも淡々と日常の業務をこなし、次の目標に向かいチャレンジを続けるわけです。

目標達成の余韻に浸っている暇はありません。

特に一般の従業員は経営目標を達成したと言われても、「あ、そうなんだ。」くらいで、喜びや達成感を感じることはあまり無いのではないでしょうか。

一般従業員であれパートタイマーであれ、日常の業務の中で努力しているのですが、経営・組織をコントロールし、経営状況を把握している経営者や管理職に比べれば、目標の達成も他人事のように感じてしまうのは当然でしょう。

 

企業の目標と従業員の働く目的

企業は企業の目標に向かって進むわけですが、従業員はどうでしょうか?

甲子園に出場するために強豪校に入学する高校球児と甲子園を目指す強豪校の目標は一致しています。

それと同じように従業員は企業の目標である業績向上のために、顧客満足一位のために、働いているのでしょうか?

答えはノーです。

多くの従業員は生活を充実させるため、生活レベルを上げるため、家庭を守るため等の個人的な目的のために働いているのではないでしょうか。

なので、多くの従業員にとって自分が働く会社の目標はあまり関心が無く、日常自分がどう働かされるのか?が重要な関心事になります。

これを一言で言うと広い意味で労働条件ということになります。

給料はいくらもらえるのか。仕事は何時に終われるのか。肉体労働か事務仕事か。一緒に働く人との人間関係。

「企業の目標に対して共感できるか」ということは労働条件の一部にすぎません。

 

企業の目標を共有し、目標に向かって従業員を鼓舞するのは重要なことですが、従業員の働く目的を軽視して企業の目標のみを押し付けると、従業員の心は企業から離れていくでしょう。

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