発達障害や自閉症等の子供達の支援機関に勤務されている
ベテランの臨床心理士の先生がおっしゃっていたのですが、
「学生時代にクラスの中心で充実した学生生活を送っていた人は学校の先生に向いていない。」
どういうことかと言いますと、学生時代にクラスの中心にいたような人は、クラスの中で居場所を見つけられない生徒、学校が楽しくない生徒、悩んでいる生徒等の気持ちが分からない。
気持ちを理解しようとしていないのではなく、そういう経験が無いからわからない。
なので、適切な対応や支援ができないし、その必要性にも気づかない。
だからクラスの中心にいた人は学校の先生には向かない・・・らしいです。
人は自分の経験したことしかわからない。
企業でも、従業員との関係に悩んでいる経営者さんは多く、従業員の生活の安定・企業の発展に一生懸命に働いているのに従業員は分ってくれない。私一人孤軍奮闘している。とおっしゃる経営者さんは多いです。
先の臨床心理士の先生の考えを当てはめると、従業員さんが経営者さんの気持ちが分からないのは当り前かも知れません。
私もサラリーマン時代は、「社長は大した仕事をしているように見えないのに、楽しそうな出張ばかりで、たくさん役員報酬をもらって良いよね」なんて、思っていました。
でも、多くの社長さんは、取引先との関係性を維持するために楽しくない接待もし、資金繰りに注意を払い、企業の負債の保証人になっている実態を従業員は知らない。
知識として知っていたとしても、経験が無いから理解できない。
ただ、従業員さんが経営者さんのことを理解できないのであれば、経営者さんは従業員さんのことを理解できているでしょうか。
生え抜きで叩き上げの社長さんなら理解できるかもしれませんが、創業間もない社長さんはどうでしょう。
親族から引き継がれた2代目・3代目の社長さんはどうでしょう。
管理職・一般従業員・パート・アルバイト・派遣社員・・・・立場が違えば考えも違います。
さらに従業員さん一人一人の考えも十人十色で違います。
お互いのことを本当に理解するというのは非常に難しいことなのでしょう。
相互理解のシステム化
我々のいる現場は教育現場ではなく、企業なのですから、学校の先生のように高いレベルで生徒を理解するような必要はありません。企業活動が円滑に進む程度の相互理解があれば良いわけです。
そのためには、まず、経営者の考えをしっかり伝えること。それは企業理念・企業方針・企業戦略といった形で表されます。
また、従業員にどのようなことを求めているのか。それは人事方針・戦略・人事評価・給与制度等がベースとなり、具体的な指示として表されます。
つまり相互理解をシステム化すれば良いのです。
企業の舵取りを行うのは経営者さんなのですから、経営者さんの考えを明確に示すことが必要です。その上で、従業員さんの考えを聞き、方針や戦略をブラッシュアップする必要があります。
従業員さんとの関係性に悩んでいる経営者さんも、必要以上に従業員さんを理解する必要も無ければ、従業員さんに理解してもらう必要もない。
そう考えると、少し気楽に考えられるのではないでしょうか。
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