あなたの経営哲学は?

トップ⇔ボトム活性化では、ボトムアップの方法を定める前に、経営理念や経営方針を整備する作業を行います。
それは、経営には哲学が必要であると考えるからです。その哲学は、経営理念や経営方針として従業員やお客様、取引先などに知らされます。

製品のライフサイクルが短く、コモディティ化し、ネット経由で情報が瞬時に知れ渡る現在、自社の製品やサービスの優位点は、速いスピードで陳腐化し、必要とされなくなり、模倣される可能性があります。そんな中で、企業をお客様が応援したくなる気持ち、従業員ががんばりたくなる気持ちを維持・向上させるのは、非常に難しいと言えます。

しかし、長期間に渡り変わらずに、その企業はどんな企業かを表すのが、経営理念や経営方針といった、その企業の哲学です。哲学が指示されると長期的にお客様や従業員の支持を得ることが出来ます。

会社経営には哲学が必要です

品質や価格以外にお客様がその企業を応援したくなる理由としては、企業の社会的な貢献(例えば、環境問題への取組、少子高齢化への取組、安全・健康への取組、芸術や文化への支援など)があります。ブランド力が強く、その企業の製品やサービスを購入することがステイタスになる場合もあります。

では、従業員がお給料などの待遇以外でがんばりたくなる理由としては?

その仕事を誇りに思える、成長を感じられる、その仕事が楽しい、その仕事でお客様や同僚に喜ばれる等々、ポジティブな気持ちをそこで得られるか?が大きいと思います。

なぜ、あなたの会社に入社したのか?

あなたの会社の従業員はなぜ、あなたの会社に入社したのでしょうか?
そこには何らかの理由があります。

その仕事がしたかったから?
中小企業は社会の縁の下の力持ちという立ち位置の企業が多いです。大企業や一部の新興ベンチャーのように、世間に注目され、華々しい仕事では無いことが多いです。この会社に憧れて入社しました!という従業員は少ないと思います。
お給料がそこそこで、通勤がしやすくて、悪い会社ではなさそうだから、入社できそうな会社の中で一番マシ、という消極的な理由が案外多いのではないでしょうか?

つまり、必ずしも大きな夢や希望をもって入社してきたわけではない。

なので会社が夢や希望を与える必要があるのです。

その夢や希望を言葉として表すのが経営理念や経営方針です。
そこには会社の、社長の哲学が反映されていなければなりません。
その哲学に従業員は夢と希望を見出すのです。

当然ですが、その哲学は実践されている必要がありますし、哲学に反することをすると、信用を無くします。夢や希望を無くします。

哲学を軽視したらどうなった?ある企業の例

経営方針として、「従業員が協力し、一致団結して・・・」と掲げた企業が、従業員の給与に成果・能力給を導入し、従業員の待遇に差をつけるようになりました。それは必ずしも間違いとは言えませんが、一つ大きなミスを犯します。

従業員の評価を相対評価にしてしまったのです。

つまり、従業員同士の成績の比較・優劣によって待遇に差が出るのです。
同僚の評価が下がれば自分の評価が上がり、自分の評価が下がれば同僚の評価が上がる、という相対評価では、従業員同士の協力体制は崩壊し、従業員の協力・一致団結は掛け声だけのものとなりました。同僚との比較にばかり気をとられた従業員からはお客様の存在が希薄になり、顧客満足を追求することもありません。
また、同僚よりも評価が良い従業員は、同僚を見下し、パワハラやモラハラの横行する職場となりました。
哲学に反したことをしたために、社内の空気は最悪、業績は急下降です。

これは極端な例ですが、実際にあった話です。

仮に、従業員同士の協力は必要なく、従業員同士での競争を歓迎するという哲学の企業が同じような賃金・評価制度を導入したならどうでしょうか?
企業の哲学に合致しているので従業員は比較的すんなりと受け入れるでしょう。
この先ずっとその哲学で経営していけるかどうかは別にして、おそらく大きな混乱は無く、むしろ、競争が活性化して、一時的には業績が向上するかもしれません。
少なくとも、「言動と行動が一致していない。」という批判を受けることは無いでしょう。

企業の哲学は簡単に変えてはいけない!惑わされてはいけない!

大企業や海外企業の成功事例が新聞や雑誌、ネット等に溢れています。
参考になりますね。取り入れたくなる気持ちも分かります。

先ほどの例の企業も、成果・能力給が社員のモチベーションを上げて、人件費も一定に抑えられると考えて成果・能力給、相対評価の賃金制を導入しました。
でもその前に、そのやり方は自社の哲学に合致するのか?を考えるべきでした。

お客様、従業員に支持される哲学を持ち、それを追い求める企業は長期的に支持されます。
逆に言うなら、長期的に支持される哲学を持つべきです。そして、それを追い続けるべきです。

目先の利益にとらわれて哲学を曲げる経営者は、お客様、従業員、双方の支持を失います。

貴社の哲学はどんな哲学ですか?

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