事業計画書を作ることは物語を作ること

補助金申請や金融機関への融資申請等、事業計画書を企業外の誰かに見せる機会があると思います。

企業内で、経営者さん自らが経営のコントロールに使うという事業計画の本来的な使い方の場合、経営者さんが作って経営者さんが理解できれば良いので、極端な話ですが、事業計画「書」になっていなくても、頭の中で脳ミソにインプットされているだけでもOKなわけです。

しかし、自分以外の他人に見せる場合、他人が理解できるように構成や用語など、分かりやすくする必要があります。

他人に理解してもらう必要がある

自社の管理職や従業員に事業計画を説明する場合などは、同じ会社で同じ業界で仕事をしているので、業界用語は通じると思いますし、会社内の共通認識もあるので、細かい説明が無くても意味は通じますし、理解してもらえると思います。
言葉で補足することもできます。

ただ、補助金申請や融資申請、その他には経営計画の各種認定制度を利用する場合など、まったくその企業や業界を知らない他人への説明は、非常に難しいと思います。

まず、業界用語や社内での共通認識が通じない。
ふだん当たり前のように使っている業界用語を知らない他人に、説明するには多くの言葉が必要です。社内なら1つの言葉で説明すればよいところを10の言葉で説明しなければなりません。

事業計画の背景が分からない。
社内の人間なら業界の動向を知っているので、この市場の売上を伸ばしたいという事業計画の「なぜ、この市場の売上を伸ばしたいか」が理解できている。
でも、それを知らない他人には、業界の動向、市場の動向を一覧表にしたり、グラフで表示したり、理解してもらう必要があります。一手間も二手間もかかります。

書面での説明であり、口頭での補足が出来ません。

他人にわかりやすく伝える書面を作るのは非常に難しい作業です。

ストーリー(物語)を作る。

事業計画は基本的に、

現状⇨変化⇨理想の未来⇔そのための戦略・戦術

を書くものです。

現状とは、現状分析です。
今のお客様はどんなお客様か、どんな商品がどの程度売れているのか、どのような理由で支持されているか、など。
まず、現在の状況をきっちり把握する。

そして変化。

これは、どのように変化させたいのか、変化したから対応したいのか、など。
変化が無いなら、望まないなら、今まで通りで良いので事業計画を作る必要性は薄れます。
事業計画を作るという事は、何かしらの変化を望むときであることが多いと思います。
売上が減少傾向なので売上をあげたい、市場が縮小しているので他の市場に進出したい、ライバルが売上を伸ばしているので奪還したい、新しいシーズ(事業のタネ・新技術など)があるのでそれを利用して新事業を作りたい、など。

 

その変化に対して

理想の未来を示す。
新しいお客様はどんなお客様か、どんな商品をどの程度売るのか、どのような理由で支持されるのか、など。予想損益計算書や新商品の売上計画等の数字で示す理想の未来も必要です。

そのための戦略・戦術として

新商品開発、営業力強化、設備投資、人材育成、資金調達、実行スケジュール、実行体制、などを考える。
ここが事業計画の核心です。

おそらく、企業内での共通認識がある場合、理想の未来と、そのための戦略・戦術の部分だけ説明すれば、ある程度従業員は理解できるでしょう。

でも、他人への説明は、現状⇨変化⇨理想の未来⇔そのための戦略・戦術 というストーリー、物語にしての説明が必要です。
それによって、この事業計画を行う理由、実行可能性、実現可能性、有効性などを理解してもらうことが出来ます。

 

一連のストーリーが出来たら、そのストーリーを補完するデータを加えます。

例えば、先ほども述べた市場の売上動向を時系列で表にするとか、グラフにするとか、顧客の嗜好の変化を表すデータを加えるとか。
その他にも人材育成の計画や実行体制を示して、計画通りに実行できることを示す、投資する機械設備の仕様書などを添付する、など。

ストーリーを補完するためのデータなので、一概に何が必要かは言えませんが、こういったデータが考えられます。

注意しなければならないのは、本筋であるストーリーが主役であることを忘れないこと。脇役である補完データに力を入れすぎたり、目立ちすぎたりしないこと。
たまに、ここに力を入れすぎて、本筋であるストーリーが分かりにくくなっている事業計画を見かけます。
あくまで、ストーリーの説得力を増すための補完データであることを忘れないようにしましょう。

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