ビッグモーターの事件で悪者にされた環境整備

ビッグモーターに関する報道が終息しませんね。
報道が終息しないというか、新たな問題が毎日のように発覚するのですから終息のしようがありません。

ビッグモーターの事件で問題視されているのが環境整備点検と称する経営陣による従業員の締め付けです。
雑草が生えていたら、ゴミが落ちていたら、砂埃があれば、責任者は完全にパワハラ認定される叱責を受け、降格人事の行われていたそう。
この一件で環境整備・環境整備点検が悪者になってしまいました。

しかし、ご存知のように環境整備は5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)として一般的に行われていますし、
その点検も行われています。
では、ビッグモーターは何がダメで正しい環境整備・環境整備点検とはどんなものなのか?

まず、環境整備とは何のために行われるのか?
多くの従業員さんは環境整備なんて嫌いでしょう。なんのためにやっている?やる意味あるの?
これが多くの従業員さんの本音。

「環境整備は収益を向上させるために行う」これが正しい答えです。
環境整備は単なる美化活動ではありません。
工場や作業場では品質の向上や生産性の向上に繋がらなければなりません。

品質の向上は、工場な作業場にゴミや埃をなくし、コンタミ・異物混入などを防ぐというのが主目的です。
生産性向上は、作業の妨げになるものが無い状態・モノの移動が楽な状態・モノをすぐに探せる状態などを作り出すのが主目的です。

おそらく、ビッグモーターでは、お客様が気持ちよく来店・滞在できる状態を作りたかったのでしょう。

しかし、環境整備をやらされている?世間の多くの従業員さんが感じているように、環境整備そのものは直接売上を上げるわけではないし、モノを作れるわけでもない。
環境整備のためにお客様との商談や生産ラインを止めていては収益は低下する恐れがあります。
なので妥協点が必要です。
バネが縮んだ(環境整備にかける時間や人手の損失)あとに大きく飛び上がる(生産性が良くなる・売上が上がる)のが環境整備であって、バネを縮めてばかりでは飛び上がれませんよね。

それでも経営陣による妥協なき環境整備点検が行われるのであれば、膨大な時間をかけて草をむしったり落ち葉を掃くよりも、落ち葉が落ちてこないよう・草が生えてこないように除草剤を撒こう、という発想になるのは追い詰められた従業員さんにとっては自然な発想かもしれません。それがたとえ公道上の街路樹であっても。

ビッグモーターの環境整備点検は、明らかに減点主義のように思われます。
減点主義どころか、経営陣のストレス発散・恐怖政治による支配そのものが目的ではないかと思ってしまいます。

本来の環境整備点検は、社内から選ばれた環境整備委員等が良いところと改善点を指摘しあい、より良い方向に持っていくのが正しい姿です。
ですので、社長室や管理職・上司の机等も点検対象です。
一方的に経営陣が従業員の作業場を点検するのではなく、経営陣も従業員に点検されるのです。

会社をより良くするために現場に精通する従業員の知識やノウハウを経営陣が借りるのか。
経営陣は正しい・間違えないという思想の元、経営陣の考えを従業員に押し付けるのか。

天才経営者なら後者でも良いでしょう。
しかし多くの経営者は苦しみ・悩みながらも日々努力を続けておられる一般人です。

従業員にも助けてもらいながら、衆知を結集した経営とを目指すべきです。

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